11/10, 11「PORTO」で観る、語り合う「ハッピーアワー」開催
「PORTO」で観る、語り合う「ハッピーアワー」開催
演技経験のない4人の女性たちがロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞し話題となった本作は、市民参加による「即興演技ワークショップ in Kobe」から誕生した。ほとんどの登場人物を演技未経験者がつとめ、総尺5時間17分の大作となった『ハッピーアワー』。これまでにない試みで映画をつくりあげたのは、映画学校の生徒たちを起用した4時間を超える大作『親密さ』や、トータル7時間を超える東北記録映画三部作(『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』)など、常に挑発的な作品づくりを続けてきた濱口竜介。また蜷川幸雄作品の劇音楽を数々手がけてきた阿部海太郎の音楽も映画を彩る
30代後半の女性たちを主人公に、4人それぞれの家庭や仕事、人間関係を丁寧に描きながら、濱口竜介は、どこにでもいる“普通”の女性たちが抱える不安や悩みを、緊張感あふれるドラマとして見事に表現してみせた。今の私は本当になりたかった自分なのか?本当に伝えたいことを言葉にできているのか?ゆっくりと、迷いながら発せられる彼女たちの一言一言が、観ている者にスリリングな感動を届けてくれる。ロカルノでも大きな反響を呼んだ、いまもっとも注目すべき話題作
4人の女性たちが直面するそれぞれの人生の岐路
30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは……。中学生の息子がいる桜子は、多忙な夫を支えながら家庭を守る平凡な暮らしにどこか寂しさを感じていた。編集者である夫をもつ芙美もまた、真に向き合うことのできないうわべだけ良好な夫婦関係に言い知れぬ不安を覚えていた。あかりはバツイチ独身の看護師。できの悪い後輩に手を焼きながら多忙な日々を過ごし、病院で知り合った男性からアプローチを受けるも今は恋愛をする気になれずにいる。
純の現状を思わぬかたちで知った彼女たちの動揺は、いつしか自身の人生をも大きく動かすきっかけとなっていく。つかの間の慰めに4人は有馬温泉へ旅行に出かけ楽しい時を過ごすが、純の秘めた決意を3人は知る由もなかった。やがてくる長い夜に彼女たちは問いかける。
—私は本当になりたかった私なの?
「PORTO」で観る、語り合う「ハッピーアワー」開催
キャスト Cast
- 申芳夫
- 三浦博之
- 謝花喜天
- 柴田修兵
- 出村弘美
- 坂庄基
- 久貝亜美
- 田辺泰信
- 渋谷采郁
- 福永祥子
- 伊藤勇一郎
- 殿井歩
- 椎橋怜奈
キャスト Cast
はたのこうぼう HATANO KOUBOU / 脚本
映画監督の濱口竜介、野原位、脚本家の高橋知由が2013年に神戸で結成した脚本ユニット。
野原位 Tadashi NOHARA
1983年栃木県生まれ。2007年に東京藝術大学大学院映像研究科の第3期監督領域に入学し、黒沢清監督に師事する。在学中には伊坂幸太郎原作のオムニバス映画『ラッシュライフ』中の一編、寺島しのぶが主演する『京子』を監督。また大学院修了作品として、いしだ壱成が主演する長編映画『Elephant Love』を監督。その後は、CS放送の番組AD、CGプロダクションマネージャーなどの職を経て現在は神戸を拠点に活動中。自身の監督最新作『talk to remember』が広島国際映画祭(2015年11月開催)にて初上映となる。
高橋知由 Tomoyuki TAKAHASHI
1985年生まれ。2010年日本大学大学院芸術学研究科修士課程修了(映像芸術専攻)。大学在学中からシナリオを学び、卒業後は自主制作映画にスタッフとして参加する一方、ホラー系OVやウェブ配信ドラマなどのシナリオを書く。主な脚本作に『不気味なものの肌に触れる』(監督:濱口竜介)、『最後の命』(原作:中村文則 監督・共同脚本:松本准平)など。
北川喜雄 Yoshio KITAGAWA / 撮影
1982年、岡山県生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科を卒業後、撮影助手として映画、CMの現場に従事。インディペンデント映画などにも撮影者として参加する。監督の濱口竜介とは、『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』『親密さ』でもタッグを組んでいる。その他に、撮影を手がけた主な作品として、短編『大きな財布』(2011、杉田真一)、『人の望みの喜びよ』(2015、杉田真一)がある。
阿部海太郎 Umitaro ABE / 音楽
1978年生まれ。作曲家。東京藝術大学と同大学院、パリ第八大学第三課程にて音楽学を専攻。2008年より蜷川幸雄演出作品の劇音楽を度々担当しているのをはじめ、舞台やテレビ番組などの楽曲を手掛ける。2013年にイスラエルの演出家、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック演出のミュージカル『100万回生きたねこ』の作曲をロケット・マツ氏とともに担当、音楽監督も務めた(2015年夏に再演)。現在放送中の『日曜美術館』(NHK)、『世界で一番美しい瞬間』(BSプレミアム)、『W座からの招待状』(WOWOWシネマ)のテーマ曲を担当。『シネマシュカ、ちかちかシネマシュカ』(2012年)、『The Gardens -Chamber music for Clematis-no-Oka』(2013年)などこれまでに4枚のアルバムを発表している。
www.umitaroabe.com
製作総指揮 : 原田将、徳山勝巳
プロデューサー : 高田聡、岡本英之、野原位
アソシエート・プロデューサー:靜 健子、HAYASHI Akikiyo
監督 : 濱口竜介
脚本 : はたのこうぼう(濱口竜介、野原位、高橋知由)
撮影 : 北川喜雄
録音 : 松野泉
照明 : 秋山恵二郎
助監督 : 斗内秀和、高野徹
音楽 : 阿部海太郎
製作・配給 : 神戸ワークショップシネマプロジェクト(NEOPA,fictive)
宣伝 : 佐々木瑠郁、岩井秀世
【special thanks】
野瀬 範久、SASAKI Hideaki、奥野 弘幸、山田 ゆかり
藤島 順二、北川 喜信、野本 幸孝、金森 春樹
芹沢 高志、中山 英之、Silent Voice、坂本 一馬
SAITO Ayako、桜井 敬子、岡村 忠親、MASE Yukie
【特別協力】
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
Gateway for Directors Japan
2015 / 日本 / カラー/ 317分 / 16:9 / HD
「PORTO」で観る、語り合う「ハッピーアワー」開催
濱口竜介 Ryusuke HAMAGUCHI / 監督 Director
1978年、神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品
され高い評価を得る。その後も日韓共同製作『THE DEPTHS』(2010)が フィルメックスに出品、東日本大震災の被災者へのインタヴューから成る『
なみのおと』『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(2011〜2013/共同監督:酒井耕)、4時間を越える長編『親密さ』(2012)、
染谷将太を主演に迎えた『不気味なものの肌に触れる』を監督するなど、地域やジャンルをまたいだ精力的な制作活動を続けている。現在は神戸を拠点に活動中。
Filmography
『PASSION』 (2008/HD/115分) | : サン・セバスチャン国際映画祭、東京フィルメックス正式出品 |
『永遠に君を愛す』 (2009/HD/58分) | : パリ国際映画祭正式出品 |
『THE DEPTHS』 (2010/HD/121分) | : 東京フィルメックス正式出品 |
『なみのおと』 * (2011/HD/142分) | : ロカルノ国際映画祭正式出品 |
『親密さ』 (2012/HD/255分) | : ポレポレ東中野にて2週間のロードショー |
『なみのこえ 新地町』 * (2013/HD/103分) | : 山形国際ドキュメンタリー映画祭正式出品 |
『なみのこえ 気仙沼』 * (2013/HD/109分) | : 山形国際ドキュメンタリー映画祭正式出品 |
『うたうひと』 * (2013/HD/120分) | : 山形国際ドキュメンタリー映画祭正式出品 |
『不気味なものの肌に触れる』 (2013/HD/54分) | |
*『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』は酒井耕との共同監督作品 |
キャスト/スタッフ | Comments
予告編 | Trailer
「PORTO」で観る、語り合う「ハッピーアワー」開催
劇場 THEATER
上映中・上映予定/Now playing - New opening
都道府県 | 劇場名 | 電話番号 | 上映期間 |
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東京 | シアター・イメージフォーラム | 03-5766-0114 | 2020/12/26(土)〜2021/1/8(金)2018/11/10(土), 11/16(金), 11/18(日), 11/20(火), 11/22(木) 2015/12/12(土)〜2016/1/22(金)(終了) 再上映 2016/2/6(土)〜2/19(金) 再上映 2017/4/22(土)〜5/12(金) ※5/6,5/7は休映 |
兵庫 | 神戸 元町映画館 | 078-366-2636 | 再上映 2020/12/28~30 2019/12/28〜30 2018/12/30(終了) 2015/12/5(土)〜2016/1/1(金)(終了) 再上映 2016/4/23, 25, 28(終了) 監督特集内再上映 2016/12/24〜30(終了) 再上映 2017/12/30(土) |
大阪 | シネ・ヌーヴォ | 06-6582-1416 | 2020/12/29、302019/12/21(土)〜27(金) 2018/12/29(土), 30(日) 2016年12月17日(土)〜30日(終了) 再上映 2017年12月27日(水)〜29日(金) |
京都 | 出町座 | 萩原 カウンターチェア バーチェア 椅子 レザー調 回らない ハイチェア モダン 幅48 奥行48.5 高さ84 座面高60 キャメルブラウ | 2020/12/28~年末2018/10/20(土)〜26(金) |
”この若い作家の視覚は、背景となった神戸の町を、まるでジャック・リヴェットの撮るパリのような非現実的な空間へと変容せしめ、女性たちを、ジョン・キャサベテスの撮る存在のような驚異の生々しさへと変容せしめている。にもかかわらず、この二十一世紀の女性映画は増村保造にすら似ておらず、独自のあやうさとしたたかさのなかで揺れ続け、見るものを魅了する。上映時間の5時間17分は、平成日本には過ぎた貴重な贈りものだといえる。これを玩味せずにおく理由などまったく存在しない。必見!!!”
—蓮實重彦(映画評論家)
Share this!”一点倒立、
漂着した瓦礫を立てつづけた男が教示する。
重心、軸、回転、温度、鼓動、
意識した途端に揺れはじめる女たち。
独りの点、人の線、人間の面、世界の体、映画の胞。
俳優の才能とは、演技の巧みさよりも、
人物の動態という時空間にみずからを投じることだ。
本作には4人の名女優がいる。
彼女たちがアマチュアと知って、頷いた。
4つの女がそれ自体として存在する”
—五所純子(文筆家)
Share this!”5時間17分は、掛け値なしに、あっという間に過ぎた。
そして映画を見終えた後、その外の世界の見え方は、果たして、劇的に変わってしまったように思われた。
あかりや、純や、桜子や、芙美が、たがいの「微笑」に秘められている、とほうもない数のニュアンスを丹念に聴き届けようとするその時間を共有し終えたいま、街を歩き、見知らぬ顔とすれ違うたび、それらの顔に、同様のひろがりや深さを予感せずにいることはできないからだ。”
—三浦哲哉(映画研究・批評、青山学院大学准教授)
Share this!”私は「ハッピーアワー」を観た後、当然だと思っていたこと、慣れ親しんだことについて
自らに真摯に問いかけるようになりました。
映画とは何か 演技とは何か
関係とは何か 幸せとは何か
長いランニングタイムの間、静かに淡々と最後まで語るような監督の姿勢はとても印象的で、
心の奥深いところから正直に表現を紡ぎ出す4人の女優にもとても驚きました
特異に見える点は見当たりません。
しかし、最後はとても新しい映画だと感じられる驚くべき映画です。”
—ムン・ソリ(女優『オアシス』『自由が丘で』)
Share this!”4人の女性の見事な肖像画”
—カイエ・デュ・シネマ
Share this!”『ハッピーアワー』を観ることは、挑戦であり、同時に冒険でもあります。21世紀のコミュニケーションシステムが我々に課す挑戦であり、伝統的な物語映画のフォーマットを越えて我々を異なる体験へと連れ出すような冒険です。私たちの生活の5時間と少しを『ハッピーアワー』に費やすことを、私は心よりお奨めします。上に述べたような理由のみでなく、濱口竜介の映画は実際、まったく長くはないからです。むしろ、4人の素晴らしいヒロインと出会い、彼女たちの日常の経験を大小分かち合うとき、彼女たちともっと一緒にいたいと思うことになるのです。彼女たちを抱きしめ、彼女たちが生きることの苦難に耐えるのを助けるためだけではなく、私たち自身をもう少し理解するためにも。”
—カルロ・シャトリアン
Share this!(ロカルノ国際映画祭アーティスティック・ディレクター)
”物語、脚本、役者、そして演出といった映画制作のあらゆるレベルにおいて、「素晴らしい」の一言に尽きる”
—ウド・キア(俳優 『サスペリア』『メランコリア』)
Share this!”(非常に美しい作品、)途方もなく野心的”
—リベラシオン紙(フランス)
Share this!”見るものを恍惚とさせる、魔法のような映画”
—フィルム・ド・カルト(フランス)
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